わたしが、どら焼きの中で一番好きなのは「うさぎや」さんです。
うさぎやさんは、上野、日本橋、阿佐ヶ谷に店舗を構えており、それぞれ特色の異なるどらやきが楽しめます。阿佐ヶ谷のお店はまだ未訪問ですが、上野と日本橋のどらやきを比較して、それぞれの特徴をまとめてみました。
うさぎやとは
東京都内有数のどら焼きの人気店です。日によっては行列が出来たり、売り切れが発生することもあります。
創業者初代の谷口喜作さんが大正2年に上野に創業したうさぎやは、100年以上の歴史がある老舗の和菓子屋さんで、どらやき以外の和菓子の販売もしています。なお、店名の「うさぎや」は、初代の谷口さんが卯年生まれだったことによるそうです(公式HPを参照させていただきました)
その後、創業者の子孫がのれん分けをして、日本橋、阿佐ヶ谷にもお店を構えました。店名が「うさぎや」、看板商品が「どらやき」の和菓子屋さんであることは共通していますが、それぞれのどらやきは原料から製法まで異なるため、味や食感には個性があります。なお、「東京三大どら焼き」とされているのは、創業店である「上野」のどらやきです。
各店舗情報についてはこちらです
どらやきの基本情報比較
包み紙
左が上野、右が日本橋です。上野はシンプルで日本橋は「うさぎや中央区日本橋」という店舗ロゴのマークが印字されています。
大きさや重量
直径はどちらも約10cmとほぼ同じです。
大きく異なるのは「厚み」と「重量」です。
上野の厚みは2cm〜3cm弱、日本橋の厚みは3〜3.5cmと、写真からもはっきりわかるように日本橋の方がこんもりしていて分厚いのが印象的です。
重量は、上野が100g弱、日本橋は約115gでした。多少の個体差はあると思いますが、厚みのある日本橋の方が重いのは確かだと思います。
どらやきの皮(生地)
どちらもムラのない均一な焼き色で美しいですが、上野の方が焼き色が濃く、プツプツした気泡があります。対する日本橋はやや焼き色が薄く、つるんときめ細かい滑らかな表面です。
続いて、あんが包まれている内側(生地の裏面)を見てみると、さらに違いが際立っています。
上野は白っぽくて焼き色がないのに対し、日本橋は黄色くて薄く焼き目がついています。上野は「片面焼き」のようです。片面からじっくり皮を焼き上げるため表面は焼き色が濃く、ふつふつと気泡の穴が大きめにあいてサックリしています。それに対し、日本橋は「両面焼き」なので、気泡が少なくつるりとした表面でもっちりしています。
実際、半分にカットした断面を見てみますと、生地の膨らみ方が全く違うことが目視できます。「味や食感の違い」については、生地の色の違いも含めて後の実食レポートでまとめていきます。
どらやきのあん
あんは、どらやきの皮よりさらに違いが明らかです。
上野は十勝産小豆を使用した、これぞ「つぶあん」という仕上がりで、小豆の粒がほぼそのまま残されていて汁気がたっぷりです。やや赤みがあってつややかで、汁気には程よい粘りがあり、全体的にみずみずしいような印象を受けます。
一方、日本橋は小豆が程よく潰された「つぶし餡」で、柔らかそうな小豆の粒が半分、潰されたあんが半分という感じ。見るからにずっしり、ぼってり食べ応えがありそうで、黒々した艶があります。そして量が多いですね。どらやきの厚さの違いはあんの量にありそうです。
どら焼きの原材料、消費期限
上野の原材料:
砂糖・小豆・小麦粉・全卵・ハチミツ・水飴・膨張剤
日本橋の原材料:
小豆・砂糖・小麦粉・卵・蜂蜜・重曹
原材料の表示で気になる部分を赤字にしてみました。なお、どちらも食品添加物などは一切入っていません。ですので、消費期限はどちらも販売日(どらやきの製造日)の翌日です。
原材料欄の表示については「使用した原材料を重量順に記載する」というルールがありますので、上野は「砂糖」の使用量が多く、日本橋は「小豆」が多いことがわかります。前述通り、日本橋は見るからにあんたっぷりなので納得ですが、お砂糖の大半はあんに使用されていることを考えると、上野の方があんそのものも甘めだと予想できます。
また、どらやきの皮を膨らませる「膨張剤」について。上野は「膨張剤」、日本橋は「重曹」と記載されています。
重曹(ベーキングソーダ)は膨張剤の一種ですが、どら焼き特有の綺麗な焼き色がつくのと、ごくほのかに苦味を帯びたどら焼き独特の風味を出すのに欠かせない膨張剤らしいです。もっちりした歯ごたえが出るのもポイントですが、一方で、ふんわりとさせるにはベーキングパウダーなどの他の膨張剤を加えた方が良いそうです。(こちらを参照させていただきました)どらやきの皮(生地)でも述べましたが、焼き方や色にも違いがあるので、食感の違いについては後の実食レポートにまとめていきます。
最後に、上野にだけ使用されている「水飴」の存在があります。
あんに水飴を入れると保水性が高まりしっとり仕上がるそうなので、やや粘りのある、しっとりみずみずしい上野のつぶあんは、水飴の効果が強いのかもしれません。
味や食感(実食レポート)
ではいよいよ、実際に食べて味や食感の比較をしていきたいと思います。
上野のどらやき
作りたての上野のどら焼きは、カステラみたいに甘くてとてもいい香りがします。上野で使用されている蜂蜜は「レンゲ蜂蜜」とのこと。片面焼きで表面がしっかり焼かれた皮の表面は歯ざわりがサクッとして、蜂蜜と小麦の香りが強くてふんわ〜りしています。どらやきとパンケーキの中間みたいなとっても優しい味です。(前述の「膨張剤」で書いた通り、なんとなく重曹+ベーキングパウダーが使われてそうな予感)
その皮に包まれているつぶあんは、みずみずしさと強い甘さが特徴的です。
「十勝産小豆」を炊いた煮汁を少し煮詰め、とろみが出た状態で煮汁もそのままどらやきの皮に包んだみたいな…とろりと粘りのある汁気をたっぷり含んだ甘いつぶあんです。また、この煮汁をこぼさないためになのか、どらやきの2枚の皮はしっかりと口が閉じられています。
つぶあんの写真を撮るために2枚の皮を剥がすのがすごく大変でした。皮が片面焼きなので、焼き目のついていない内側はピッチリ閉じやすいのかも。
そんな、しっかり口が閉じられた上野のどらやきは、皮とあんの一体感が強くて、この皮、このあん、このバランスでないと味わえない味です。サクッ、ふわっ、あんことろりの食感と、レンゲ蜂蜜と小麦の優しい香りは、何度も食べたくなる抜群の美味しさです。
▼食べたその日に書いた感想日記はこちらです
日本橋のどらやき
まず、どらやきの皮のつるつるときめ細やかな焼き色にうっとりさせられます。そして丸々とこんもり盛り上がった、ずっしり重量感を感じるボリューム!
その「こんもり」の正体はたっぷり包まれたこしあんです。小豆の粒が大きめで、その小豆は皮が口にあたらないくらいまでしっとり柔らかく炊かれ、やや潰されている状態。滑らかなこしあんとも違う、つぶあんを程よくつぶしたからこそ生まれるホクホク感があり、小豆そのものの風味が強く、抜群のどっしり感があります。小豆の味が際立っておりお砂糖の甘さは上野より控えめです。
また、この黄色さからもわかるように卵の味がしっかり感じられるどらやきの皮は、両面からしっかり熱を加え、重曹を使用していることで、皮の内部がしっかり膨らんで厚みがあり、もちもちと弾力のある歯ごたえです。断面を見てみると両面が焼かれているため、あんの汁気のしみこみは上野よりも防がれていて、つぶあんの内部にみずみずしい汁が閉じ込められていることもわかります。
どらやきの皮とあんの一体感は上野の方が強く感じられますが、弾力のあるもっちりした皮と、ホクホクしてぼってり食べ応えがありつつ内部に汁気もしっかり閉じ込められた最強のつぶあんは、なんとも見事なハーモニーを生んでいて必食の美味しさです。
▼食べたその日に書いた感想日記はこちらです
味の比較とまとめ
●上野の特徴●
味の全体像:皮とあんの一体感があり、お砂糖の甘みが強い。
どらやきの皮:蜂蜜と小麦の香りで、歯ごたえがサクッとしてふんわりしている
どらやきのあん:量は少なめで、やや小粒の小豆でねばりのある汁気がたっぷり
●日本橋の特徴●
味の全体像:ボリュームがあって皮もあんも、全ての素材の味が濃い
どらやきの皮:卵感が強く、弾力があってもちもちしている
どらやきのあん:たっぷり入っている。大粒の小豆が程よく潰されて、ホクホク感とみずみずしさ両方が楽しめる
…というわけで、同じうさぎやのどらやきでも上野と日本橋で特徴はかなり異なっていますが、どちらもとても美味しいです。わたしはあんこが大好きなので、つぶあんがたっぷりの日本橋の方が好きですが、どちらが好きかは、完全に嗜好の問題ですね。気になる方は、両方食べて自分の好みを確認してみてくださいね!
店舗情報
上野のうさぎや
店名:うさぎや(合資会社 うさぎや)
住所:東京都台東区上野1丁目10番10号
アクセス:
JR山手線「御徒町」駅より、徒歩4分
東京メトロ千代田線「湯島」駅(6番出口)より、徒歩3分
上野広小路駅から193m
松坂屋百貨店 旧南館1階角を背にして立ち、左手斜め前。中央通り反対側。三叉路になった植え込みの木の前。「商工中金ビル」の右隣です
定休日:水曜日
予約:商品の予約可能(店頭に数名座れるベンチがあるが、基本的にテイクアウト)
※公式HPによると「どらやきをお求めの場合、16時以降ご来店の際はご予約願います」とことです。
注)情報は変更になる可能性がありますので、来店前に公式HPなどでご確認ください。
公式HP:http://www.ueno-usagiya.jp/
食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13003599/
補足情報:
2015年に、うさぎやから徒歩1分ほどのところに「うさぎやCAFE」がオープンしました。
●うさぎやCAFE●
食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13184732/
うさぎやの餡のおいしさ、作りたての味を味わってもらうことがコンセプトで、所々に「ハワイ」のエッセンスを織り込んだCAFEです。
商品写真など:
日本橋のうさぎや
店名:うさぎや(有限会社 うさぎや)
日本橋のうさぎやは2店舗あります!
●うさぎや本店●
住所:東京都中央区日本橋1-2-19
アクセス:
東西線・銀座線「日本橋」駅A4出口より徒歩約1分
(日本橋駅から216m)
定休日:土・日・祭日
予約:商品の予約可能(テイクアウトのみ)
注)情報は変更になる可能性がありますので、来店前に公式HPなどでご確認ください。
公式HP:https://www.wagashi.or.jp/tokyo_link/shop/0303.htm
食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13003250/
●うさぎや中央通り店●
住所:東京都中央区日本橋1-3-8
アクセス:
東西線・銀座線「日本橋」駅B11出口左隣
(日本橋駅から109m)
定休日:日・祭日
予約:商品の予約可能(テイクアウト)
注)情報は変更になる可能性がありますので、来店前に公式HPなどでご確認ください。
公式HP:https://www.wagashi.or.jp/tokyo_link/shop/0303.htm
食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13003250/
商品写真など:
☆なつつ☆
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